2008/04/03
「ドラゴンボール」シリーズなど、日本のアニメをアメリカで配給するファニメーション(FUNimation)は、全米で3億ドル(約307億円)産業と言われるアニメDVD業界のトップに君臨し、市場の27%のシェアを獲得している。
同社のCEO、ゲン・フクナガの戦略の大部分を占めているのが、綿密なリサーチと斬新な発想。対象は、日本での視聴率やコミックス・DVDの売り上げ、雑誌の読者の意見だけでなく、アメリカのチャットサイトも見るという。
「チャットサイトはもちろん、(アニメの)違法なダウンロードが何件行われたかを調べます。ダウンロード数をランキングしたサイトや、ファン投票の数を調べることも可能ですから」。
一般的には、すでにダウンロードした場合はDVDを買わないと考える。しかし、アニメファンはたとえダウンロード済みであっても、DVDの画質や特典映像、字幕の正確さを理由に購入するケースが多いという。
ファニメーションの社長、ゲン・フクナガ氏。
アニメ専門テレビ局への対応も異色だ。同社は「ドラゴンボール」や「アフロサムライ」など人気作品の全米での独占配給権があるにもかかわらず、カートゥーン・ネットワークやIFCなどへ安値で放映権を売却しているのだ。
そのため、テレビ放映による同社の年間収入は業績全体の10%に満たない。裏を返せば、不特定多数の視聴者によるDVDの売り上げ大幅増を見込んだうえでの戦略といえる。
同社は最近、新たな戦略の一環として、ダウンロード・サービスを開始した。フクナガは、同サービスの売り上げが、同社で現在2番目の売り上げを出しているTシャツ、玩具などのマーチャンダイジング部門以上の結果を残すだろうと推測している。
同社の成功は、小回りの利かない大手企業には真似をするのが困難かもしれない。著作権などクリアすべき細かい作業が多岐にわたるためだ。配給権だけでなくビデオゲームや玩具の権利が絡むと、折衝はさらに複雑になるため、ディズニーなど大手はアメリカで一般からの支持が得られる宮崎駿のようなメジャー作品以外はあえて買い付けに乗り出すことに消極的なのだ。
ファニメーションが5月にアメリカで発売する「ベクシル」のDVD。
同社が販売した「ドラゴンボールZ」は、店頭価格が$49.98と比較的高額だったにもかかわらず、発売から5カ月で5万5000本が売れた。その後も順調に売れ続けているうえに、アニメ作品の販売実績があるウォルマートなど大手スーパーの数字が反映されていないため、実際の売り上げは更に伸びているだろう。
アニメの業界紙「ICv2」の発行人でCEOのMilton Grieppは、「アメリカではまだまだマイナーと認識されていたアニメが、メジャーになりつつある」と前置きしたうえで、「今まではファニメーションやVIZに続くべく小さな会社が多数参入してきたが、このゴールドラッシュも終えんに近づくだろう」と予想する。
業界全体が活性化しスケールが大きくなると、ウォルマートやベストバイなど大型量販チェーン店とのパイプを持つ企業しか生き残れなくなっていく。今後、大手企業が参入してくる可能性も高いという。
フクナガは「まだまだすき間市場と思われているが、アメリカの若い世代の間でアニメの人気がどれほど高いか、まだ知られていないのだと思います」と語る。Grieppも、「アニメファンは新しいテクノロジーに真っ先に飛びつく傾向の人が多いのです。今のアニメDVD業界の現状が、数年後のDVD全体の市場を予想しているかもしれません」と同意を示した。
アメリカの若い世代で1つの潮流となりつつある日本のアニメ。これからもその動向から目が離せない。
原连接:http://www.varietyjapan.com/news/business/2k1u7d000000aq74.html
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