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88年、人気アニメ「聖闘士星矢」のキャラクターを描いたカードが1枚20円で買える自動販売機が駄菓子屋やスーパーマーケットの店頭に登場した。「カードダス」と名付けられたそのカードは、ドラゴンボール、ガンダム、ウルトラマン……といったヒーローが次々と登場し、20年後には100億枚を突破する大ヒット商品となった。カードダスの衰えない人気の秘密に迫った。【河村成浩】
「カードダス」が誕生したのは88年、人気アニメ「聖闘士星矢」のキャラクターを描いたカードが1枚20円で買える自動販売機が駄菓子屋やスーパーマーケットの店頭に登場した。そのころの子供たちの間では、ロッテのシール付き菓子「ビックリマンチョコ」が流行しており、テレビアニメにもなる大ブームを巻き起こしていた。
新規事業を模索していたバンダイの柴崎誠さん(現副社長)は、「場所を取らずに収集しやすいカードものが流行している」とみて、カプセル型自販機「ガシャポン」とカードの組み合わせを考案した。気象庁の地域気象観測システム「アメダス」から、「キャラクター情報と子供の情報発信基地になれば」という意味を込めて「カードダス」と名付けた新商品を開発した。
88年に「聖闘士星矢」の第1弾を発売し、立て続けに「ドラゴンボール」「SDガンダム」を発売すると、20円という安さもあって、一気にブレーク。翌年には「現代用語の基礎知識」に載り、90年は海外でも発売される勢いだった。
「カードダス」は当初、キャラクターのイラストにBP(バトルポイント)という数字が書かれているだけで、子供たちがオリジナルのルールを作って遊ぶというシンプルなカードだった。それに、キラキラ光るレアカードや、赤いセロファンのメガネ「スタウター」をつけて、カードの隠れたデータを読み取ったり、次々と新しいアイデアがつぎ込まれていった。「ドラゴンボール」と「ハンター×ハンター」など違う作品のキャラクターを交ぜて楽しめるようになり、人気も定着した。
90年代中盤、いったんブームは落ち着くかに見えたが、後半に入り、「マジック・ザ・ギャザリング」や「遊戯王」など本格的なカードゲームが大ヒットし、コレクション性を重視した「カードダス」もゲームのルールを統一して全国大会を開催するなど再び盛り上がりを見せるようになった。
その後は、アニメのキャラクターだけでなく、競馬や「モーニング娘。」などを取り上げたり、05年には、カードのデータをゲーム機のカードリーダーに読み込ませて対戦する「データカードダス」も登場した。海外でも発売され、米では「ナルト」が、アジア圏では「ガンダム」が人気という。大会も盛況で、日本一を決める大会にはも台湾王者も参加する。
カードダスは、約87億5000万枚を販売しているが、他にもコレクション性を高めた「カードダス・マスターズ」が約11億枚、「データカードダス」が約4億7000万枚、A5サイズの巨大カード「ジャンボカードダス」が約2億1000万枚と計100億枚を軽く突破。種類は、バンダイも「測定不能」といい、ガンダムの世界観に重きを置いた「ガンダムウォー」シリーズだけで4900種以上のカードがあるという。
08年に、カードダスが発売された88年の「SDガンダム」の復刻版セット(88枚入り、4800円)を販売すると、約6000セットが完売、衰えることのない存在感を示した。
カード事業部の田川大志マネジャーは「カードダスの魅力は、キャラクターの魅力をいかにカードの中にお客さんが望む“世界観”を出して再現するかです。くじのドキドキ感、そして鑑賞も耐える絵、ゲームに対応する多様性が受け入れられたと思います」と話す。「今年は20周年記念でオリジナルのカードゲームを立ち上げることを考えています」と語る。その進化は、とどまることははないようだ。
2008年6月13日